歯
今回はちょっと専門的な話なので、興味のある人だけ読んでください。 昨日今日と第110回歯科医師国家試験が実施されました。 受験生の皆さん、本当に本当にお疲れ様でした。早速仲間内で自己採点をしている人、とりあえず爆睡する人、彼女を家に連れ込む人。…
イギリスでこんな歯磨き粉が発売されるようです。 ↓ 眠っている間に虫歯を治す!夢のような練り歯磨きhttp://konomi.me/I0002990 歯磨き粉で歯を再生させるみたいなタイトルですけど、よく読むとそんな感じじゃないんですよね。 進行防止とか、初期の虫歯の再…
歯医者になりたての頃、右も左もわからず、現場では全く使えないクソみたいな知識だけを装備して佇んでいたときがあります。 そんなとき、同じくペーペーのYくんが「患者さんの歯を抜く」ということで、周りがざわついたことがありました。 ペーペー軍団の誰…
嚥下機能の低下では、ムセの症状や食事時間の延長、ガラガラ声などが観察されます。 しかしこれらは機能自体が正常な場合でも起こることがあります。 以前と比較して明らかに変化があるときも、嚥下機能の低下として認めやすいですが、初めての患者さんのよ…
嚥下障害において、注意すべきは「誤嚥」と「窒息」です。 お正月には餅をのどに詰まらせるニュースが流れますが、まさにあれです。 窒息は誰にでも起こりうることです。 嚥下機能の低下も原因ですが、食形態にも大きく影響されます。 餅のように粘着性の強…
サマリーの中には血液データが入っています。 嚥下機能の検査をする上でのチェック項目を挙げてみます。 alb(アルブミン) (正常3.4-5.3) これは栄養状態を表す指標 低いと何をやっても疲れます。 CRP (0.3以下正常) 6.0以下でよしとする。 炎症のある状…
// 患者さんのサマリーには色々な情報がつまっていて、今後の治療方針に大きく影響します。 その中で、飲み込みの状態が良くない患者さんの場合に確認すべき項目を挙げてみます。 ・既往歴 今までの病歴を調べることで、全身状態や治療のリスクを考察します…
嚥下機能の低下が疑われる患者さんを診察するとき、まず初めに何をすればよいでしょう。 それはサマリーを確認することです。 サマリーとは、個人についての医療や介護の情報を記録したものです。 既往歴(過去の病歴)や現病歴、生活環境を知ることは、これ…
誤嚥の分類から、誤嚥性肺炎の発症まで、そして症状と対策を流れのまとめです。 誰もが面白いときやふとしたときにムセルことがあります。 気管に入ろうとした異物を涙を流しながら排出している状態です。 歳をとるにつれて、だんだんと排出する力が弱まって…
「ムセ」は誤嚥の指標になります。 唾液や飲食物が食道ではなく気管に入ってしまったとき、つまり誤嚥したときに、 むせることで異物を吐き出します。 この「むせる反応」を「咳反射」といいます。 よく介護や医療の現場で、「むせがないので大丈夫」という…
アマゾンでも売っているので、一つ持っていると便利だと思います。 このくらいの安いものでも充分です。 ↓ ボクは当初は大人用を使っていましたが、今は小児用を使っています。 接触面積が小さく、少ない違和感で検査をすることができます。 ↓ リットマンは…
聴診だけでも、多くの情報を得ることができます。 その中でも、重要な特徴を3つを挙げてみます。 ・飲み込み音が長い ・嚥下の後また嚥下する ・嚥下前と後の呼吸音が違う まずは現場に聴診器をもっていきましょう。
改訂水飲みテスト↓で、飲み込みの音を確認するときには聴診器を使うと便利です。 そのときのポイントとしては、 首の中心からずらして聴診器をあてる。 2横指分くらい。 これは喉仏(甲状軟骨の喉頭隆起)の上下運動を妨げないためです。 また、一度息を吐い…
今まで6つの観点で食事中の観察ポイントを書いてきました。↓ そもそも、これらは一体何のためにおこなうのでしょうか。 何をアタマに考えながら食事を観察すればいいでしょう。 それは「摂食嚥下障害」の有無の予測です。 日常生活において「食べる」という…
これまで挙げた6つのポイントのまとめです。
嚥下機能の状態を確認する方法のひとつに「MWST(Modified Water Swallowing Test)」があります。 日本語いうと「改訂水飲みテスト」です。 方法 冷水3mlを口腔底に注ぎ、嚥下をする。 嚥下後に反復嚥下を2回施行。 評価点が4点以上なら最大2施行繰り返す。…
嚥下機能の状態を確認する方法の一つに「RSST」があります。 「RSST」とは「Repetitive Saliva Swallowing test」の略で「反復唾液嚥下テスト」です。 これは誤嚥しているどうかを判別するのスクリーニング法です。 方法 人差し指と中指で甲状軟骨を触知する…
prandium.hatenablog.com 今までのように一見で分かる情報もあれば、患者さんに触れて分かる情報もあります。 というより、どちらの情報も大切です。 次回は触れて初めてわかる情報について書きたいと思います。
前回のエントリーで提示した問題点の対応を考えてみます。 もんだい1 ・食事を開始できない 原因 ・食事の手順がわからない(箸を持つ、水を飲むなど) ・多くの情報が処理できない(他人の声や動き、テレビなどの音) 対応 ・最初の行動に対しての促し、声…
前回のエントリーで「口腔ケアの意味」を説明しました。↓ さらに掘り下げて「口腔ケア」前に注目すべきことを書いてみます。 1.食事中や食後のむせ 2.口唇や口腔内の乾燥 3.BMI18.5以下(または3ヶ月で3kgの体重減少) 4.肺炎の既往 それぞれに対応する着目点…
一言で「口腔ケア」といっても、一体「口腔ケア」とは何者なのかを理解している人は意外に少ないです。 口腔ケアの役割は予防です。 何を予防するかというと「歯周病」と「誤嚥」です。 歯周病の原因は細菌です。加えて呼吸器や心臓の疾患、糖尿病は歯周病を…
前回のエントリーで、認知症の症状を大別しました。↓ 「BPSD」はさらに精神症状と行動症状に分別できます。 精神症状 ・幻覚 ・妄想 ・抑うつ ・睡眠障害 行動症状 ・暴言 ・暴力 ・易怒性 ・不穏 ・徘徊
「日付、約束などの物忘れ」や「お風呂に入ったり洋服を着るなどの日常動作の障害」といった「認知能力の障害」を「認知症の中核症状」と呼びます。 これに対して 「暴言暴力」「徘徊」「落ち込み」などを「BPSD」と呼びます。 「BPSD」=「認知患者に出現す…
認知症による記憶障害のある患者さんが歯科受診をしても、そのこと自体を忘れてしまいます。 これは「短期記憶の障害」と呼ばれ、よく診られる状況です。 本人に判断能力がないからです。 このような患者さんに歯ブラシを渡すと、歯を磨き始めることがありま…
「摂食機能」とは「食べること」。 「嚥下機能」とは「息をすること」。 難しい言葉を噛み砕くと、こういうことになります。 つまり 摂食機能や嚥下機能の障害とはこれらの破綻を意味します。 「食べること」は「生きること」でもありますが、 「食べること…
前回のエントリーで、アルツハイマー病に対するステージごとの歯科治療目標を掲げました。↓ 今回は具体的治療方針を示してみます。 第1期 ・不良補綴物、修復物の再製作 ・歯内療法 ・歯周病の評価と治療 第2期 ・う蝕治療 ・義歯があれば調整、修理 ・嚥下…
// 前回のエントリーで、アルツハイマー病と歯科治療の関係を示しました。 ↓ 今回はステージごとの歯科治療の目標を考えてみます。 前回と同様にステージを3つに分類します。 第1期 ・自発性の低下 ・記憶障害や見当識障害による日常生活の支障 第2期 ・認知…
アルツハイマー病は認知症の原因となる疾患です。↓ ステージは大きく3つに分かれます。 第1期 ・自発性の低下 ・記憶障害や見当識障害による日常生活の支障 第2期 ・認知機能の著しい低下 ・運動機能の低下 第3期 ・臥床(寝たきり)時間の増加 ・嚥下(飲み…
前回のエントリー↓で「認知症をきたす疾患」について書きました。 医療や介護の現場では、 認知症患者に対して、リハビリテーションメニューが組まれることが一般的です。 ここで重要なことは この「リハビリ」の効果は「認知症をきたす疾患」によって天と地…
前回のエントリー↓では認知症のざっくりした概要を書きました。 今回はその「認知症」を「きたす疾患」についてのエントリーです。 おさらいになりますが、認知症とは「正常に発達した知的機能が、後天的な器質的障害によって持続的に低下し、日常生活や社会…