認知症による記憶障害と歯科治療
認知症による記憶障害のある患者さんが歯科受診をしても、そのこと自体を忘れてしまいます。
これは「短期記憶の障害」と呼ばれ、よく診られる状況です。
本人に判断能力がないからです。
このような患者さんに歯ブラシを渡すと、歯を磨き始めることがあります。
これは「手続き記憶」といって、今までの日常生活で「体が覚えている記憶」です。
歩くことや服を着ることなどが意識せずに行動できるのは、この記憶によるものです。
手続き記憶は認知症が進行しても残ることが多いです。
上手に歯が磨けるからといって、記憶障害がないわけではありません。
また、大きな特徴としては2つ。
まず、認知症でない人は忘れたことを覚えているのに対し
認知症の人は忘れたことを取り繕う傾向が診られるということ。
そして
認知症の人は第三者が自分にとって敵か味方かの判断をしやすい傾向にあるということ。