くず歯医者の恋愛経済入門9 人生は永遠じゃない。あなたの価値も永遠じゃない。
前回のエントリーでは、期間を設定することでより近い人的資本の価値を求めることができました。
さて、もう一度「「現在価値」の考え方」の式を復習しましょう。
n年後の将来価値=現在価値 ×(1+ 利回り)^n
現在価値=n年後の将来価値 ÷ (1+ 利回り)^n
ここで、n年後が永遠であると仮定します。年収を永久に受け取ることができるということですね。
この場合において年収500万でディスカウントレート2%の公務員の現在価値(PV)を前回のエントリーを応用して考えると
PV = 500万/(1+0.02)^1+500万/(1+0.02)^2+500万/(1+0.02)^3.............
で表すことができます。
ここで両辺に(1+0.02)をかけあわせて、そこから元の式を引き算します。
すると以下のようになります。
(1+0.02)PV = 500万+500万/(1+0.02)^1+500万/(1+0.02)^2+500万/(1+0.02)^3..........
ー
PV = 500万/(1+0.02)^1+500万/(1+0.02)^2+500万/(1+0.02)^3.............
∴0.02PV = 500万
右項の後ろがほとんどきえて、こんなにシンプルになりました。
移項すると
PV = 500万/0.02 = 2億5000万
よって、「現在価値とは、毎年受け取るお金をディスカウントレートで割ったもの。」ということになります。
さて、勘の良い人は気付いたと思いますが実はこの式、「くず歯医者の恋愛経済入門7 あなたに値段をつける(しがない歯医者が儲からないわけ)」のエントリーですでに計算しています。
つまり、同じ年収を永遠に稼ぎ続ける値段を、様々な職業において算出していたのです。この状態を永久還元とか永続価値と呼びます。
そして現在価値をPV、毎年受け取るお金(キャッシュフロー)をC、ディスカウントレートをrとすると
PV = C / r
という非常にシンプルな式が成り立つことになります。
これが永続価値の定義式です。不動産の価値を出すときは、収益還元の定義式と呼んだりもします。永久に利息が発生する場合の値段を求める方程式です。
しかし人間には定年があったり転職や休職があったり、そして何よりも寿命というものが存在します。このことから、人を一種の債券や株式としてみても、永続価値は成り立たないのは明らかです。
よって当たり前ですが、期限がある分価格は低く設定されます。結局はこれが「くず歯医者の恋愛経済入門8 あなたに値段をつける・改」で表したものになるのです。
そしてどの計算をしてもそこに浮かび上がってくる確かなことは、人間が確かに生きていること、と、時間が有限であるということなのです。
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