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せめてプライベートはのんびり暮らしたい。

くず歯医者の恋愛経済入門10   あなたは成長する。多分ね。

今回は人的資本の考え方に、「成長率」というスパイスを加えてみます。

これまでは、年収を不変のものとして考えていました。しかし厳密には景気や業績に左右され、多少の増減がある場合がほとんどですね。ここでは一定の割合で上昇する場合を考えてみましょう。

毎年1%、年収が増えていくと仮定します。

 

くず歯医者の恋愛経済入門7」と同じように、年収500万でディスカウントレート2%の公務員の現在価値(PV)を例に考えてみましょう。

この公務員の年収を毎年1%あげていくときの現在価値は以下のように表すことができます。

PV = 500万/(1+0.02)^1+500万(1+0.01)/(1+0.02)^2+500万(1+0.01)^2/(1+0.02)^3+.........

 

年収を示している分子の部分に、成長率の1%分を積していくだけです。

さてここで両辺に(1+0.01)/(1+0.02)」をかけあわせ、さらに元の式からそれを引き算します。

 

PV = 500万/(1+0.02)^1+500万(1+0.01)/(1+0.02)^2+500万(1+0.01)^2/(1+0.02)^3+.........

(1+0.01)/(1+0.02)PV=500万(1+0.01)/(1+0.02)^2+500万(1+0.01)^2/(1+0.02)^3+.............

 

前回と同じように、右項の後ろが全部消えます。

∴  [1-(1+0.01)/(1+0.02)]PV=500万/(1+0.02)

∴  (0.02-0.01)/(1+0.02)・PV=500万/(1+0.02)

∴  PV = 500万 / (0.02 - 0.01)

∴  PV = 5億

 

この公務員の現在価値は5億円となりました。成長を加味すると、現在価値(人的資本)は跳ね上がることがわかります。(元々この公務員の現在価値は2億5000万円でした)*1

ここで現在価値をPV、毎年受け取るお金(キャッシュフロー)をC、ディスカウントレートをr、成長率をgとすると

PV = C / ( r - g )

 

というまたまた非常にシンプルな式が成り立ちます。前回のPV = C / r  の強化版ですね。これが「定率成長付き永続価値の定義式」です。

ここからわかることは「現在価値(PV)は、産み出すキャッシュ( C )、産み損なうリスク( r )、産み出したキャッシュの成長率( g )の3要素で決定できる」ということです。

 

因みに「( r - g )」がマイナスになると、この式は全く意味のないものになります(現在価値がマイナスになるため)。しかし、ディスカウントレート( r )が成長率( g )より小さくなるということは考えなくてよいでしょう。なぜなら、どの市場も前提条件として「効率的である」とされているからです。(歪みの生じた場合はそこに利益が生まれ、それに気づいた人たちによりすぐ効率的に戻っていきます。)

次回は具体的に数字で表してみましょう。

 

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