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くず歯医者の恋愛経済入門6  不安な気持ちを数字で表す

今日は「ディスカウントレート」についての補足です。

今までの話だけでも、隣に座る嫌いな同僚や絡み酒してくる上司なんかに比べたら、よっぽどお金について造詣が深くなっているので読み飛ばしてもかまいません。 

 

「5年後100万円返すからお金貸してくれ」と言ってきた友達に対して、「こいつは半分くらいの確率で持ち逃げするだろうな」とあなたが思った場合、この友達に貸し出せる金額は47.5万円でした。(2/26「友達にお金を貸してみよう」より)

安全資産である日本国債のディスカウントレートは年利1%で、それに対しこの友達のディスカウントレートが年利16%であるということも説明しました。

そしてこのレートの差である15%(=16-1)がそのままリスクの差として表すことができましたね。理解できたでしょうか。

さてここで、そもそもこの話は結局どんな内容だったかというと「5年後確実に100万円返ってくる(日本国債)」と「半分(1/2)の確率で持ち逃げされそうだから、5年後に200万円は受け取れないとやってられねーや」とを比較した話でした。

100×1/1 = 200×1/2 +0×1/2

なので上の式のように、両方の期待値を同じ値として計算しましたね。当たり前ですが。

 

この話をさらに現実の世界に落とし込んでみましょう。

このように期待値が同じの場合、多くの人が「リスク」の少ない前者(日本国債)を選びます。なぜなら後者(友達)は振り幅が大きく、所謂ブレというものが存在するからです。多くの人は、半分の確率ですべて失うという「リスク」を避けて、確実に100万円を手に入れようと考えます。これを難しい言葉ではプロスペクト理論と呼んだりします。

 

身に覚えのある人もいると思いますが、人間は振れ幅のある不確実な事象に対して、少なからず不安を感じます。すると、後者(友達)にお金を貸すためには、この振れ幅のリスクを加味して、もう少し期待値をさげ(ディスカウントレートをあげ)なければ、誰も貸さないということになります。

このことから、厳密にいうとこの友達のディスカウントレートは前述した16%よりも「少し」高くなることになります。この「少し」の部分を「リスクプレミアム」といいます。

つまり「リスクプレミアム」とは、「不安な心理の数値化」です。

振れ幅のリスクを背負ったご褒美分と考えてもいいでしょう。

 

200万円にどのくらい上乗せしたら、あなたが(気持ち良く)この友達に貸すことができるのか。その上乗せ分を含めた金額でのディスカウントレートを求め、そこから友達のディスカウントレート16%を引いたものがこの場合のリスクプレミアムになります。

 

今までの話をまとめましょう。

結局、あなたが人に貸す金額は下の3つの組み合わせによって決まるということになります。

  1. 国債の利回り(リスク0の利回り)
  2. 期待値(その人に対する信用度)
  3. リスクプレミアム(振れ幅に対する不安な心理) 

これはいわば、すべてを決めるのはあなたの心次第ということに他なりません。

人の心はブレます。体調や精神状態によって、あなた自身のディスカウントレートも常に変化しています。冷静な状態を保つということが、あなたの信頼を、そして資本力を向上させていくことになるのです。

 

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