結婚したくない男

せめてプライベートはのんびり暮らしたい。

文句を言った相手に申し訳なさそうに謝られると自己嫌悪に陥る。

 

ボクはちょっとイライラしていて、音楽を聴きながら歩いていました。

 

彼は携帯で楽しそうに話しながら歩いていました。

 

そんな彼と出会い頭にぶつかりそうになりました。

ふと彼の口元に目がいきました。前歯が1本ありませんでした。

 

ボクの足が道路脇の縁石に少しだけ当たりました。

 

「きもっ」

 

思わず口にしていました。

 

振り向くと、彼は申し訳なさそうに会釈をしました。

聞こえていたかはわかりません。

 

30歳くらいに見えました。

金曜の夜、仕事が終わって友達と話していたんでしょうか。

 

無視して振り向かないと思ったんです。

なんだこいつみたいな目で見てくると思ったんです。

 

自分の器の小ささに自己嫌悪になりました。

そのくらいで文句言うことも。

言うなら「あぶね」だろ、と。

 

あなたは悪くないです。

ごめんなさい。