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歯科医師国家試験の合格発表  一通りはしゃいだら読んで欲しい、君たちを待ち受ける世界の話

今日は歯科医師国家試験の合格発表でしたね。合格率は63.8%でした。*1

例年60〜70%前後で推移していたので、予想の範囲内でしょう。

しかし合格者数は約2000人でした。近年2400人程度合格していましたから、約400人ほど門が狭くなっています。これが示すものは、全体(新卒と既卒)の受験者数が減って、新卒の合格率が例年より低かった、ということです。

 

厚労省の発表では、およそ500名が願書を提出しているにもかかわらず、国家試験を受験していません。

歯学部の学生は各大学で実施される卒業試験(通称「卒試」)に合格しないと、大学卒業資格を得ることができません。そして歯科医師国家試験は、大学卒業資格がなければ受けることすらできませんから、この500名は留年という憂き目にあったということになります。日本には29校の歯学部がありますから、平均して20人弱が卒業できていません。

歯科関係の人は周知の事実ですが、日本では歯科医師が過剰で今は国策として資格付与を抑えている傾向にあります。

大学としては、国家試験の合格率が一種のステータスです。ですから、受かりそうもない学生はそもそも卒業させません。特に私立の大学は経営にダイレクトに響きますから当たり前です。さらに入学者も減少傾向にあるため、相当シビアに判断せざるをえません。今後の経営はかなりの困難を極めるでしょう。なので先程述べた20人留年の数も、私立出身の新卒の人にとっては寧ろ少なく感じる人もいるはずです。

 

さて、既卒の受験人数は今年若干減りましたが、例年1000人程度です。

既卒の合格率は毎年約50%なので合格者は500人ですね。そこに新卒で不合格だった人がスポリとはまって、また来年も受験者1000人です。これ不思議なんですよね。新卒の不合格者数と、既卒の合格者数はいつも近い値です。

おまけに、合格率は50%という数字はプレッシャーがかかるには充分すぎる値で、ここでループに疲れ、諦める人たちがでてくるのも当然です。

ここでも、歯科医師が供給過剰になっていることが浮かび上がります。

 

歯科医師は、国家資格で誰でもすぐになることはできない、所謂、参入障壁が高い職業です。既得権益に守られ、地位も高く、儲かる職業のはずでした。それでも歯科医師が儲からないのは、供給面は国に左右され過剰になったうえに、現代の需要に限界があると思われていることが原因です。

パイの取り合いです。

にもかかわらず、歯科医師会(会社でいう組合のようなもの)は全員横並びを唱え、突出を良しとしません。特に地方ではこの傾向が強く、加入率は100%に近いところも少なくありません。いかにも村社会ですよね。とても時代の流れに合っているとは思えません。

 

このブログでは、これからの歯科の世界において「今のパイを広げる方法」を考えていきます。(決して「今あるパイの中でたくさん奪えそうな方法」ではありません。これは勤務先で例外なく教えてもらえます。)

 

何はともあれ、約2000人の新しい歯医者のみなさん、合格おめでとうございます。

レッドオーシャンへようこそ。君たちの一助となれることを、楽しみにしています。

 

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