結婚したくない男

せめてプライベートはのんびり暮らしたい。

3代でつぶれるということ。「親の貯めた金をその子供が散財し、孫の代で底が突く」

厚生労働省の調査によると歯科医師は全国に10万人。そのうち、向こう10年は働けるであろう60歳以下がおよそ8万人います。さらに診療所は6.5万件存在します。(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/12/dl/kekka_2.pdf厚生労働省 平成24医師・歯科医師・薬剤師調査の概況より

歯医者って結局儲かるの? のエントリーで書いたように、これってすごいことですよ。ほとんど院長ですからね。昔ほど儲かっていないので、従業員の給料が抑えられるのは必然です。若い歯科医師は、いずれの開業を目指して、日々せっせと修行しています。開業がゴールになっている場合も多いですね。

 

開業のパターンは2種類しかありません。自分で新しく建てるパターンと親の病院を引き継ぐパターンです。

前者の場合は、理想と現実の間で悩むことが圧倒的に多いですね。どんな高度な治療を持っていても、患者がこなければ病院は維持できません。銀行への返済や人件費は容赦なく降りかかります。お金の勉強をおろそかにして、(理想の)技術だけ習得した人はいいカモになります。

後者の場合で多いのは、親との軋轢ですね。しかしこれは、生き死には関わりませんから、借入の問題に比べればゴミみたいなものです。病院を改装することも多いでしょう。なによりも地盤があるというのことは精神的にも経済的にも大きいです。

さて、両者に共通して重要なことは、「開業に関するお金」が「誰が責任を持つお金」か、ということです。つまりは「親の金」なのか「自分の金」なのかということです。はっきり言ってこの世に他人の金ほどぞんざいに扱えるものはありませんね。あぶく銭と似たようなものです。 

 

本来、世襲が多い職業というのは、旨みが多く才能がいらない職業がほとんどです。政治家、医者、歯医者、芸能人。旨みがなければそもそも誰も継ぎたがらない(継がせたがらない)でしょう。

歯医者に関して言えば、自分(だけ)はなんとかなる、と思っている人が多いですね。「なんとかなる」の根拠が、難しい抜歯ができる。とか、この場所なら歯医者が少ない。とか、スタッフに文句を言わせないとか、サイナスリフトができる・・みたいな理由であれば目もあてられません。

 

一番重要なのは、治療が好きかどうか。

そして次に重要なのは、お金について勉強し、経験を積んでいるかどうか。

 

自分の胸に手を当てて情熱を感じてください。もし熱いものを感じるのなら、非常に満足度の高い時間を過ごしているということです。引続き武器を磨き続けてください。開業よりも、ストレスなく過ごせるその場所を大切にしてください。

病院として本気で利益を出したいのであれば、コンサルや材料屋の話を聞く前に、まず本でも読んでお金の勉強しましょう。インプラントのセミナーに行っている時間と同じくらいに。儲けることにテンションが上がるどうか自問自答しましょう。

 

これからの歯科業界には「親が貯めた金をその子供が散財し、孫の代で底が突く」状況がどんどん出てくるでしょう。

細かい作業が好きとか、口の中を見るのが幸せ、と思える人以外はこの先歯医者だけを仕事にするのはハイリスクです。情熱が少なく、旨みも感じていないのであれば、他に色々やってみることをお奨めします。

次の世代のことは考えづらいかもしれません。しかし、ここではっきりしていることは「人生が一度きり」ということです。「歯医者しかできない」なんてことはありません。そのマインドブロックを壊して、1歩前に踏み出しましょう。

 

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